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日本のアンティーク布の魅力

投稿日:2018年09月24日 更新日:

先日とある店角で、とても目を惹く布に出会いました。

それは着物の幅で織られた布地で、現代には無さそうな柄と質感で、一際目立っていたのです。

今では、どこを探しても見つからなさそうな、ただならぬ存在感を感じました。

夏が終わって涼しくなった9月のとある日に、ヒマワリの柄の布地を購入するに至ったのです。

アンティーク布の魅力

ところでアンティーク布の魅力はどこにあるのでしょうか。いくつもありますので、項目を追ってみてみましょう。

・一期一会の柄

こちらは何の柄だと思います?

「杵」です。

杵;きね…昭和末期生まれの私には、ギリギリ分かるような分からないような単語です。

うどんを打ったり、餅をついたり、穀物を脱穀するアイテムらしいのです。

私がギリギリ「杵」について類推できたのは、近所のイオンに「杵屋」という、うどん屋さんがあったから。

そのお店のロゴが、この柄だったのです。

先ほどの写真は襦袢(じゅばん…着物をきる時のインナー)として自宅のたんすから発見されました。おそらく亡くなった祖母のものです。

大正末期生まれの祖母の所有品ってことは、100年近く前のものということになります。

昭和初期頃までくらいの人々にとっては、このような杵柄も身近だったのかもしれませんね。たった二世代前の柄なのに、平成末期の現代ではとても新鮮です。

そのままでは利用できないので、ほどいて再利用することにしました。

こちらのように、着物の形になっているものはもちろん、反物の状態でも、もう生産されることのないような柄が発見されるのはアンティーク布の面白さです。

柄の意味や当時の流行を想像したり、調べて(ググって)みるのは楽しいものです。

・印刷のにじみ

柄物の布地の場合、今とは違った染め方や技術の違いから輪郭がじんわり滲んだものが多く見受けられます。

「注染」や「シルクスクリーン」など、今も受け継がれているものもありますが、今では途絶えてしまったような加工も多いのでは…と印刷をまじまじと見ながら想像します。

私は以前、京都のプリント布地会社で働いておりました。

昔のままの染め方では採算面、排水の関係、需要の減少…とハードルがあり廃業した同業他社も多いと聞きました。

私の勤めていた会社は「シルクスクリーン」という手間がかかり色数も制限される方法から、「昇華転写」という色数に制限がほぼない加工方法に切り替えたところでした。

版を重ねるシルクスクリーンに対して、昇華転写はパソコンと大きなプリンター、それにイタリア製の転写機を使う最新の印刷方法です。

景色や人の顔など写真を取り込めば、何でも色鮮やか&シャープに印刷できる昇華転写は夢のようなプリント方法です。

会社としては昇華転写で儲かっており、そこで私もお給料を頂けたので、最新の印刷方法に不満はありませんし、むしろ好きではありますが。笑

しかし一方で、印刷のにじみのようなものに郷愁を感じてしまうのは、きっと私だけではないはず。

よく手仕事を評価するときに、「ぬくもり」とか「あたたかさ」という表現が使われますが、アンティーク布に見られるにじみもその類いのものでしょう。

少しブレているくらいが心地良く感じるのは人間の性でしょうか…。

・生地の風合い

アンティーク布には、現代の布地にはない質感も特徴です。

糸の加工方法も、その糸が布になる織機も、昔と今では違うのです。

三重県津市にあり、今も伊勢木綿を織り続けている「臼井織布」さんの織機です。

写真自体はここ数年のものですが、織機はあのTOYOTA…豊田佐吉氏が開発した明治時代のものと聞きました。

今の織機のようなスピードは出ませんし、生産量も限られています。しかしそのゆっくりとしたスピードだからこそ、織られる風合いがあるのです。

アンティーク布に出会える最強の場所2選

ところで、日本のアンティーク布は、どこへ行けば出会えるのでしょうか?

2選とか、、少なくてすみません( ´Д`)y━・~~

私の経験上で書いているので、経験不足なだけかもしれません。しかし、その2つは中々のヒット率を叩き出す先鋭です。それでは発表します!

・物持ちが良い人の家

物持ちが良い家系の人ならば、実家のたんすを漁るのも良いでしょう。笑

私の母がそのタイプだったので、いくつかの反物と着物が桐たんすより発見されました。

桐たんすなど今のご家庭にはあるのは珍しいですが、45年ほど前は嫁入り道具としてメジャーだったらしいです。

そして時代を超えて見つかった反物は意外にも良い状態。原料が羊毛のものは虫食いもあり傷みがありましたが、綿の反物は傷みなく新品のまま40年の時を超えています。

東京オリンピック?!

…ってことは1964年。実に半世紀以上の時を超えて、私が裁くことになった布地です。

ようこそ、平成末期へ。

・「たんす屋」さん

実家に無かった人も安心してください…!!

日本中のたんすから流れ流れたものに出会える素敵なお店があります。(しかも安い)

「たんす屋」と言って、北は北海道から、南は福岡まで店舗のある和装専門の古着屋さんです。

私が「古着屋」と表現するのには訳があって、それくらいカジュアルな感じで古い着物や反物と出会えます。

こちらもたんす屋さんで購入した布地。

一反でジャスト1000円でした。一反というのは着物をちょうど1着仕立てられる分量で、ヨコ幅は40cm前後、タテは10〜11mほどとなります。

原料が羊毛だったので、虫食いが所々に見られましたが、そこを外してポーチなどの袋物をいくつも作りました。

たんす屋さんは、このような反物を「中古品」として扱っているので、このようにお安いのでしょう。

冒頭のひまわりの生地は、一反は無かったのですが、数メーターで500円です。これまた安い。

少しシミがあったりするのですが、水通しして使えば全く問題ありません。

このような布たちは、ただの中古かもしれませんが、私や当ブログを読んでくださる物好きにとっては宝物です。

買いましょう!

そして作って売りましょう!笑

(「売り」が私のネットショップにリンクしてあります( ・∇・))

私も意識してたんす屋さんに足を運んでいるのではありませんが、近くを通った際は必ずチラ見します。

すると何回かに1回、必ず掘り出し物に出会えます。流通が盛んなのか、商品の流れが早いお店だなぁと感じることが多いのです。もっと頻繁に足を運んでいれば、掘り出し物に出会えることも増えるかもしれませんね。

たんす屋さん全国店舗一覧

念のためリンクを貼っておきました。

きっと今後も団塊の世代が断捨離や終活をするので、たんす屋さんにはめくるめく着物や反物の波がおし寄せることでしょう!

どこかのご家庭の、誰かの思い出を引き継ぎましょう( ◠‿◠ )ノ

使う時の注意点や水通しの必要性

ここまで日本のアンティーク布について鼻息荒めに語ってまいりましたが、新品の布ではないだけに注意点もあります。

先ほど水通しのところでリンクを貼りましたが、ぜひアンティーク布を扱う場合はこちらの記事もご一読くださいませ。

生地の水通しはした方がいいの?

アンティーク布のみならず、様々な布を扱う際のご参考にもなります。

アンティーク布を使ったもの

最後に、これまで日本のアンティーク布で作ってきたものをお見せします。手前味噌ですが、もし宜しければお付き合いくださいませ♪

赤地に白や橙や臙脂の花模様。たんす屋さんで購入した綿の生地で作ったあずま袋です。

あずま袋とは、風呂敷+αみたいな形をした袋のことで、私はこの形が好きでよく作ります。

長方形の布からこの形ができるので、捨てる部分がなく無駄がないのも良いのです。

こちらはバネ口金という部品を使ったポーチ。

ひもだと、もっと和風なテイストになるかもしれませんね。

こちらの浴衣地もたんす屋さんで500円で購入。

リバーシブルのあずま袋をよく作るのですが、裏には厚めの現代の生地をチョイスしておくと、強度が増します。

こんな渋い縞なら、アンティーク布にもしっくり合ってくれます。

50年以上の時を超えて実家のたんすから出てきた生地です。水通しをすると、よりシャキッとあずま袋になってくれました。

ここでご紹介したものは、全て裏地が付いていたりリバーシブル仕様になっていたりと、二重構造になっています。

強度がプラスされるので、私はこの二重構造を好んで選びます。

また全て長方形の形から出来上がるので、捨てる部分がないのも気に入っています。

もうちょっとバリエーションを増やしたいなぁと思う今日この頃ではあります。しかし、あずま袋とポーチに至ってはネットショップの方のメイン商材であり作り慣れているので、今後も作り続けていくことでしょう。。

また一期一会の布地に出会えることに期待しつつ、この記事を締めたいと思います^ ^

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